2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740111
|
Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
米原 厚憲 京都産業大学, 理学部, 准教授 (10454472)
|
Keywords | 重力レンズ現象 / クェーサー / 狭輝線放射領域 / 近赤外線分光 / 三次元分光 |
Research Abstract |
クェーサーの狭輝線放射領域の起源と進化を明らかにするため、その物理的特徴が、遠方から近傍にかけてそのように変化していくのかを明らかにする必要がある。近傍クェーサーについては、ある程度まとまったサンプルとそれを用いた観測的研究がなされている。しかし遠方クェーサーについては、技術的な問題から近傍クェーサーと同様の研究がほとんど行われていない。そこで、重力レンズ現象を利用し、10mクラスの望遠鏡で得られた近赤外線での三次元分光データの解析を足がかりに、遠方クェーサーについての研究を展開することが本研究の目的である。 引き続き、共同研究者との観測データの解析に関する議論を経て、既に構築されていた、対象天体の重力レンズ銀河の質量分布に関する理論モデルを基にして、観測データから得られた遠方クェーサーの狭輝線放射領域の拡がりの再現を試みることで、サイズの測定を行った。一方で、同じ理論モデルを基にして、クェーサーの増光率を評価し、得られた値と同じ観測データから測定された水素の輝線(Hβ)強度から、増光される前のクェーサー本来の輝線強度を見積もった。これら狭輝線放射領域のサイズとクェーサー光度の2つの物理量を、近傍のクェーサーについて知られているこの2つの物理量の相関関係と比較した。その結果、同一光度で比較した場合には、有意に狭輝線放射領域のサイズが小さいことが分かった。進化の過程と考えることもできる結果であるが、測定誤差の大きさ次第であるため、慎重に誤差評価を行っているところである。また現在、これらの結果を論文としてまとめている他、もうひとつの観測天体のついての解析も行おうとしているところである。
|
Research Products
(1 results)