2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740112
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
廣田 朋也 National Astronomical Observatory of Japan, 水沢VLBI観測所, 助教 (10325764)
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Keywords | 電波天文学 / 位置天文学 / 銀河天文学 / 星形成 / 原始星 / 星間分子雲 / VLBI / メーザー |
Research Abstract |
本研究では、国立天文台の超長基線電波干渉計VERAを用いて、水メーザー(水分子が出す波長1.3cmの強い電波)が付随する太陽系近傍(距離1kpc=3260光年以内)分子雲の年周視差を高精度で計測することを目指している。これにより、太陽系近傍分子雲の距離を決定し、星・惑星系形成研究の高精度化に貢献することを目指す。また、銀河系渦状腕の1つである局所腕の運動と構造の解明にも寄与する。平成21年度は、平成20年度に引き続き、計画通り、強度が強い太陽系近傍分子雲の水メーザー源4天体についてVLBI観測を継続している。観測天体のうちの1つ、ペルセウス座分子雲にある原始星L1448Cについては、すでに年周視差の計測にも成功し、距離約230pcという値を得ている。これは、VERAによって過去に得られたペルセウス座分子雲距離235pcとほぼ一致する値であり、VERAによる距離計測精度の高さを複数天体で実証するという重要な成果である。この成果については論文執筆がほぼ完了しているが、本年冬に出版予定である日本天文学会欧文研究報告(PASJ)誌のVERA特集号に他の成果と合わせて掲載することを計画しており、現在も精度向上のための解析を継続している。他の天体についてもデータが取得され、解析が進んでいる。一方、平成20年度から開始した、磁気テープに代わるハードディスク記録方式での広帯域観測の試験も進めている。平成21年6月と7月には1回ずつ、国内大学連携VLBIネットワークを用いた近傍星形成領域のサーベイ観測を試みた。平成21年度もハードディスクを新たに購入してデータをバックアップし、詳細な解析を行うことで、今後の研究の発展性について国内外の他の研究者と共に議論を進めている。
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