2009 Fiscal Year Annual Research Report
多次元輻射磁気流体シミュレーションによる超巨大ブラックホールの形成過程の研究
Project/Area Number |
20740115
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
大須賀 健 National Astronomical Observatory of Japan, 理論研究部, 助教 (90386508)
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Keywords | ブラックホール / 降着円盤 / 磁気流体シミュレーション / 輻射輸送 |
Research Abstract |
ブラックホールが成長するメカニズム、および巨大ブラックホールと母銀河の相関を解決するには、ブラックホール周囲のガス降着・噴出流の研究が必要不可欠である。そのため、ブラックホール周囲のガス円盤およびそれに付随するジェットをターゲットとした世界初の大局的輻射磁気流体シミュレーションを実行した。これにより、観測的に予想されている三種の降着モードを全て再現することに成功した。いずれのモードでも、ヘリカル磁場を伴うアウトフローが発生することを発見した。円盤とジェットを分離したり、もしくは磁場と輻射を正しく解いていない従来の研究を根底から見直す結果となった。シミュレーションの結果に基づき、従来のモデルを修正した新モデルを提唱している。 また、質量降着率が極めて大きな状況において、観測される輻射スペクトルがどのように変化するかを調べた。輻射加速ジェット中でのコンプトン散乱が効果的になり、高エネルギーまで伸びたX線スペクトルが観測されることを予言した。これは、未だ発見されていないスペクトル状態が存在することを示唆するものである。また、謎とされている超光度X線源の正体に迫り、且つ、今後発見されるであろう急速成長するブラックホールのスペクトルを事前に予言するものでもある。ブラックホールの物理および成長シナリオの解明に重大な意義がある。
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Research Products
(4 results)