2010 Fiscal Year Annual Research Report
多次元輻射磁気流体シミュレーションによる超巨大ブラックホールの形成過程の研究
Project/Area Number |
20740115
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
大須賀 健 国立天文台, 理論研究部, 助教 (90386508)
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Keywords | ブラックホール / 降着円盤 / 磁気流体シミュレーション / 輻射輸送 |
Research Abstract |
巨大ブラックホールの成長プロセスを解明するには、ブラックホール周辺での物理、即ち、ガス降着とジェットの噴出をきちんと調べる必要がある。そのためには重力や流体だけでなく、磁場は輻射輸送の効果も同時に解く必要がある。 昨年度に開発した輻射磁気流体コードを利用し、本年度はより詳細なガス円盤とジェットの構造について調べた。その結果、質量降着率の小さな状況では磁気圧で加速されたジェットが、そして、質量降着率の大きな状況では輻射圧で加速されたジェットが噴出することが分かった。どちらのジェットもローレンツ力で収束される傾向にあることが分かった。特に、輻射で加速されつつローレンツ力で絞られるジェットは、これまでにない新たなジェットモデルであり、SS433をはじめ、大量のガスを噴出する強力なジェットを解明できる可能性がある。この新モデルは新聞や科学雑誌にも掲載された。また、質量降着率が中程度の時に形成される幾何学的に薄い円盤からは円盤風が発生することが分かった。これは従来のモデルでは予言できておらず、多次元計算で初めて明らかになった成果である。 さらに、輻射磁気流体コードで使用しているFLD近似(輻射輸送を一種の拡散近似で扱う)がどの程度正しいのかを定量的に評価した。世界中で使われているFLD近似を定量的に評価したのは初めてであり、今後の研究を発展させる上で非常に重要な礎となるものである。また、研究をさらに発展させるため、相対論効果を取り入れたコードの開発も行った。
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Research Products
(4 results)