2008 Fiscal Year Annual Research Report
スピン偏極度相関を用いたトップクォーク対生成機構の解明
Project/Area Number |
20740122
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
武内 勇司 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (00375403)
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Keywords | トップクォーク / スピン偏極度相関 |
Research Abstract |
フェルミ研究所にある陽子・反陽子衝突型加速器テバトロンにおけるCDF実験によって得られた積分ビーム輝度で2.8fb-1相当のデータ中にある195個のトップクォーク対生成事象候補を用い, トップクォーク・反トップクォーク対の間のスピン偏極度相関を調べた. シミュレーションにおける擬似実験では, トップクォーク・反トップクォーク対の間のスピン偏極度相関がある場合とない場合でおよそ1σ程度の有意度で分離が可能であることが検証された. 現在実際のデータによるスピン偏極度相関の測定結果に対してCDF実験の共同実験者たちの承認を求めているところであり, 2000年から始まったテバトロンのランIIにおけるスピン偏極度相関測定の初の結果となることが期待される. また, トップクォーク・反トップクォーク対の間のスピン偏極度相関の違いを利用して, トップクォーク・反トップクォークの生成が, クォーク・クォーク対消滅から生成されるのかグルーオン融合から生成されるのかの測定を試み, 積分ビーム輝度で2.0fb-1相当のデータからトップクォーク・反トップクォーク対におけるグルーオン融合過程の割合をF(gg)=0.53+0.36-0.38と決定した. この結果は, 現在はデータの統計量が不十分であるが, 今後データ量が増えるにつれて測定精度は改善されることが期待される. また, この測定原理は, 現在準備が進められているLHC実験においても有効であると考えられる.
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