2008 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙由来ニュートリノ事象の波形データに基づく高精度再構築
Project/Area Number |
20740124
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
間瀬 圭一 Chiba University, 大学院・理学研究科, 助教 (80400810)
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Keywords | 宇宙線 / ニュートリノ / IceCube |
Research Abstract |
本研究は現在世界最高の検出器体積を誇るIceCube検出器を用いて、10^<20>eVを超える超高エネルギー宇宙線からの超高エネルギーニュートリノを捕らえることで、未だ謎に包まれたの超高エネルギー宇宙線の起源の解明に迫る。この目的のために、今まで殆ど活かされていなかった波形データ情報を用いた高精度のニュートリノ事象再構築を行うことで、超高エネルギーニュートリノに対する感度を上げる。 本研究ではこの波形情報を用いた事象再構築の方法を確立し、以下の事を明らかにし、向上させる。 (1)エネルギー決定精度、角度分解能(2)超高エネルギーニュートリノに対する有効面積、感度(3)副次的に得られる南極の氷の性質、不定性 この高精度再構築を用いるためには期待される波形データの正確なモデルの構築が不可欠である。しかしながら、実際には検出器として自然にある南極の氷を用いていて、その性質が良く分かっていないために、正確な氷のモデルの構築には至っていない。であるから、本年度は全波形情報は用いず、時間ビンを荒くまとめ直し、詳細な時間情報に寄らず、ロバストネスを上げた解析を試した。その結果、波形情報を積分し、各検出器毎の光量を用いる方がエネルギー分解能が上がる事が分かった。これは現在の氷のモデルが完全ではないことを意味する。現在までに得られたエネルギー分解能は170%である。この高精度再構築により求められた超高エネルギーニュートリノに対する準備的な感度は期待通り約40%改善した また氷の性質を理解するためにIceCube実験では出力が較正された標準光源を氷中に埋めている。本年度はこの標準光源の観測データとモデルの比較を行った。その結果、事象の総光量の差が約35%あることが分かった。この結果をモデルにフィードバックして、より良いモデルを構築し、超高エネルギーニュートリノに対する感度を上げる予定である。
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