2009 Fiscal Year Annual Research Report
クォーコニウムをプローブとした超高温高密度クォークグルオン物質の物性研究
Project/Area Number |
20740126
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
郡司 卓 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (10451832)
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Keywords | LHC-ALICE実験 / 高エネルギー重イオン衝突 / クォークグルオンプラズマ / 遷移輻射検出器 / カラーグラス凝縮 |
Research Abstract |
申請者は、CERN-LHC加速器を用いたALICE実験に参加し、本研究の遂行に不可欠な、電子同定を主目的に持つ遷移輻射検出器(TRD)のコミッショニングをCERNにて行ってきた。クォーコニウムからの電子対をより高統計で測定する為に本年度は新たに3個のTRDモジュールを実験エリアにインストールし、その動作確認や宇宙線ランを用いた性能評価(ゲイン調整、アライメント調整)を行った。その一方で、TRDモジュールのslow controlやcontrol systemの構築を日本で進め、申請者の開発したシステムをCERNのTRDモジュールに実装した。 2009年の11月末からは、LHCで初めてとなる重心系900GeVの陽子陽子衝突実験が行われ、衝突データを用いて、TRD検出器の電子同定能力の評価を行い、π0のDalitz崩壊からの電子や光子からの変換電子対をTRDで検出することに成功した。2010年の2月からは、重心系エネルギー7TeVの陽子陽子衝突実験を遂行し、今現在は、7TeV陽子陽子衝突におけるクォーコニウム生成に関するデータ解析を進めているところである。 その一方で、申請者は様々な研究会や国際会議に招待され、RHICで観測されたJ/Ψ収量抑制に関する理論的考察とLHCエネルギーにおけるJ/Ψ生成の展望を発表・議論してきた。 また、この年に、J/Ψや重クォーク生成の理解に不可欠な衝突初期の高グルオン密度状態(カラーグラス凝縮)の研究を目指したALICE実験の次期計画に参画し、前方電磁カロリメータ開発に着手した。そのプロトタイプをCERN-PSやCERN-SPS加速器にてテストし、要求仕様を達成している事を確認した。
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Research Products
(19 results)