2008 Fiscal Year Annual Research Report
LHC原子核衝突を利用した宇宙線と地球大気相互作用の解明
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20740130
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
さこ 隆志 Nagoya University, 太陽地球環境研究所, 助教 (90324368)
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Keywords | 最高エネルギー宇宙線 / LHC加速器 / ハドロン相互作用 |
Research Abstract |
CERN LHC加速器で将来期待される原子核衝突実験を用いた宇宙線と地球大気相互作用検証実験のデザイン研究を行う。研究の主な課題は、現在LHCf実験として推進している陽子陽子衝突実験のデザインからの変更の必要性の確認、原子核衝突における高い多重度に対する耐放射線装置の準備である。本年度は主に、モンテカルロ計算によって原子核衝突からの二次粒子分布の特徴を研究した。同種粒子の衝突を前提とし、地球大気の主成分である窒素原子核同士の衝突をDPMJET 3およびQGSJET 2の異なるモデルを用いて計算した。その結果、両モデルの間に、ガンマ線および中性子のエネルギースペクトルに有意な違いがあることがわかった。また、これらの違いは、現行のLHCf実験装置でも十分に検証できることがわかった。同時に、窒素原子核衝突における多重度も検証したが、実験に支障をきたすレベルではないことが明らかになった。次年度は、異種原子核(陽子と窒素、鉄と窒素)に対する計算も実施する。また、現行装置以上の成果を得るため、さらに優れた装置の具体的なデザインを検討する。特に鉄と窒素による衝突では高い多重度とそれにともなう高い放射線量が予想される。耐放射線カロリーメータとして、ガラスシンチレータの入手、試験の準備を進めている。CERN現地の担当者との議論も行い、将来のLHCの運転プラン、特にわれわれの研究を実施している衝突点最前方領域の改造計画に関する意見交換を行っている。
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Research Products
(3 results)