2008 Fiscal Year Annual Research Report
ハドロン加速器および初期宇宙におけるブラックホール
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20740133
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
FLACHI Antonino Kyoto University, 基礎物理学研究所, 研究員(科学研究) (20444474)
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Keywords | 宇宙物理 / 素粒子論 / 加速器 |
Research Abstract |
昨年度を通じ、マイクロブラックホールの蒸発過程のうち回転が減速しつつある相について吟味し、そのLHC実験との関連性を調べた。成し得た主要な結果として、技術的には、放射スペクトルの計算のための新たな手法を用いることで極めて高速回転する領域の解析を可能とし、また、現象論的には、余剰次元数と高次元プランク質量の情報を読み取るためには、スピンの速さに依存した放射の角度分布を利用することが本質的であると指摘した。さらに、ブラックホールの高速回転と潜在的な熱力学的不安定性の間の関係を見出した。最終的に、そのようなイベントが検出された場合の統計解析を改善する方法を提案した。高速回転するブラックホールがきたし得る不安定性を解析する試みを推し進めつつあるところである。 また、関連する諸問題についても研究を行なった。 まず始めに、ホログラフィー仮説に関連したブラックホール周囲での量子効果についてのこれまでの研究をまとめ、漸近的に平坦でない時空での真空偏極の効果を計算する新たな手法を提案した。これは、研究対象とする高次元ブレーンワールドにおけるブラックホールについての重要課題である。 また、ブラックホール蒸発においてのQCDセクターならびに一般的な強結合セクターを解析するための自然な手法である非摂動的場の理論の理解を深めるため、いかなる強く相互作用する理論の解析にも用いることのできる新しい正則化のスキームを提案した。 さらに反de Sitter時空中でブレーンが交差するモデルでの場の局所化の問題についても調べた。
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