2008 Fiscal Year Annual Research Report
粒子シミュレーションによる無衝突衝撃波のダイナミクスと粒子加速の研究
Project/Area Number |
20740136
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加藤 恒彦 Osaka University, レーザーエネルギー学研究センター, 特任研究員 (90413955)
|
Keywords | プラズマ / 衝撃波 / 粒子加速 / 不安定性 / 磁場生成 / 宇宙物理学 / レーザー実験 |
Research Abstract |
本年度は、まず大阪大学に平成20年7月に導入されたスーパーコンピュータSX9用のプラズマシミュレーションコードの開発および最適化を行った。そしてそのコードを用いて、背景磁場が無い場合とある場合の無衝突衝撃波の大規模シミュレーションを行った。 背景磁場が無い電子・陽子プラズマ中の非相対論的無衝突衝撃波のシミュレーション(2次元)では電子・陽子の質量比をこれまでのシミュレーション(数十)より現実に近い400に取った計算をし、ワイベル不安定性が発生して強い磁場を作り、それが散逸を担って無衝突衝撃波が形成されることを示した。この結果は、宇宙にはこのような種類の衝撃波が存在しうることを示したという点で重要である。さらに、主に次年度に計画をしていた垂直な背景磁場がある場合の非相対論的衝撃波のシミュレーションについても2次元の計算をいくつか行った。その結果、衝撃波の構造はこれまで主に行われてきた1次元シミュレーションの結果とは大きく異なり、特にワイベル不安定性が作る磁場が圧縮された背景磁場の強さと同等かそれ以上になり、衝撃波周辺のダイナミクスに大きな影響を与えることが明らかになった。さらに、近年、衝撃波の遷移層付近で起きる可能性が指摘されている静電的な不安定性に関してもシミュレーションによる研究を行った。 上記の研究内容は学会や研究会などで発表し、論文としてまとめている。また、シミュレーションコードの開発、データの保存や解析・可視化および論文の作成には研究費で購入したハードウェアやソフトウェアを使用した。
|