2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740147
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
鵜沢 報仁 Kinki University, 理工学部, 研究員 (50378931)
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Keywords | 超重力理論 / 素粒子論 / 宇宙論 / 相対論・重力(理論) |
Research Abstract |
(1) 素粒子論の知見を基に初期宇宙論の様々な現象を明らかにするという手法は宇宙論で古くから試みられている。超弦理論は重力(及び時空)の量子化を実現させる可能性を持つ有力な候補であり、その低エネルギー有効理論である超重力理論は初期特異点問題・インフレーショシ理論・時空のコンパクト化等、宇宙論や相対論に対し広範囲に渡り物理的な示唆を与え続けてきた。本研究では、近年宇宙論で頻繁に議論されている10次元II型及び11次元超重力理論の交差ブレーン解に注目し、時間依存解を構築することを目的に、高次元Einstein方程式の厳密解を導出した。その結果、計量の時間依存性は全て湾曲因子に含まれ、時間の一次関数として表されることかった。更に、コンパクト化により導かれる交差ブレーンの低次元有効理論について解析すると、有効理論から得られる解は元の高次元理論では得られない解を含むことが分かった。従って、低次元有効理論を用いて時空の時間進化を議論する場合、高次元理論には存在しない解を低次元有効理論で扱う危険性が現れることがこの研究で判明した。 (2) 近年の宇宙論・素粒子論的な実験・観測結果により、大きさが小さくかつ殆ど時間変化しない内部空間を持つ高次元理論が要求されている。これらは高次元理論における内部空間の安定化問題と呼ばれている。本研究では上記の問題に対して10次元II型理論のD3-D7ブレーン解に注目し、内部空間の時間進化について調べた。その結果、D3ブレーン近傍では内部空間の大きさは殆ど変化しないが、D3ブレーンから離れるにつれて内部空間の大きさは膨張或いは収縮することが分かった。
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