2009 Fiscal Year Annual Research Report
暗黒エネルギーの起源の理論的な探究と観測からの制限
Project/Area Number |
20740148
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
辻川 信二 Tokyo University of Science, 理学部・第2部・物理学科, 准教授 (30318802)
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Keywords | 暗黒エネルギー / インフレーション / 超弦理論 / 密度揺らぎ / 宇宙背景輻射 / 宇宙の大規模構造 / 暗黒物質 / 粒子生成 |
Research Abstract |
平成21年度は,修正重力理論に基づくダークエネルギー模型の構築と,その観測的な兆候に関する研究を主に行った.特に,f(R)重力理論に基づく物質揺らぎの進化について,局所重力実験の制限を満たすような模型に関して明らかにした.特に,物質揺らぎの成長率のスケール依存性に関して,フランスの研究者のDavid Polarski氏らとともに詳細な解析を行い.その成果はPhysical Review D誌に出版された.また,f(R)重力理論とスカラーテンソル理論に基づくダークエネルギー模型において,強い重力場中でのスカラー場の球対称解をある近似のもとで解析的に求め,数値的にもその存在を確かめた.この研究は,英国の研究者のReza Tavakol氏と日本大学の玉置孝至氏と共同で行い,その成果はJournal of Cosmology and Astroparticle physics誌に掲載された. 修正重力理論以外にも,一般相対論の枠組みで,2つ以上のスカラー場が存在する系におけるダークエネルギーのダイナミックスに関して明らかにした.これは単独のスカラー場で宇宙の加速膨張ができなくても,2つ以上のスカラー場の相乗効果で加速膨張できる模型である.しかも宇宙初期にスカラー場のエネルギー密度が大きくても,スケーリング解の存在により,輻射優勢期および物質優勢期の宇宙進化を損なわない魅力的な解である.この研究は,辻川の学生の大橋純子氏とともに共同で行い,その成果はPhysical Review D誌に出版された. また,上記のような研究成果が評価され,韓国における国際会議に招待され,"Dark energy and modified gravity"というタイトルで招待講演を行った.
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