Research Abstract |
スカラー場のラグランジアンが,ミンコフスキー時空の極限でガリレイ変換に関する対称性を満たすガリレオン理論において宇宙進化を調べ,理論がゴーストのような問題点を持たないパラメータ領域について明らかにした.また,ガリレオン理論に基づく暗黒エネルギー模型において,宇宙背景輻射,超新星,バリオン振動の最新の観測データを用いて,模型に対する制限をつけた.さらに,物質の密度揺らぎと重力ポテンシャルの変化を調べ,Integrated Sachs Wolfe効果を通して宇宙背景輻射の温度揺らぎに与える影響と,宇宙の大規模構造への影響について議論した.それに加えて,ガリレオン理論を拡張した暗黒エネルギー模型での揺らぎの進化について,一般的な評価を行った,今後の詳細な観測データによってガリレオン模型の兆候をテストすることができるという意味で,上記の一連の研究は,将来的に重要性を増すことが期待できる. 修正重力理論に関するレビュー論文の執筆も依頼され,Antonio De Felice氏とともに,主にf(R)重力理論に関するレビューを行った.また,2010年9月に京都で開かれた国際会議にも招待され,暗黒エネルギーとインフレーションに関する研究発表を行った.また,L.Amendola氏とともに,ケンブリッジ出版から暗黒エネルギーの本を出版した. 上記の事項に加えて,大規模な数値計算用のコンピュータ部品を購入し,それをもとにコンピュータの性能を強化し,宇宙背景輻射や宇宙の大規模構造の観測に基づくデータ解析を行った.これは暗黒エネルギーだけでなく,インフレーション模型に対する制限をつける意味でも非常に有用であり,今後さらに重要性を増すことが期待される.
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