2008 Fiscal Year Annual Research Report
非対称超新星の爆発機構の解明と重力波、ニュートリノ放射の定量的評価
Project/Area Number |
20740150
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
固武 慶 National Astronomical Observatory of Japan, 理論研究部, 助教 (20435506)
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Keywords | 超新星 / 重力波 / ニュートリノ / 重力波 / マグネター / 中性子星 / QCD相転移 |
Research Abstract |
平成20年度において、実施計画書で予定していた課題を以下の通り遂行し、計画されていた以上の研究成果を挙げることができた。以下、交付申請書に記載された研究テーマに従って研究成果を述べていく。 (1) 三次元数値シミュレーションによる超新星爆発メカニズムの解明 当初の計画に沿って、現実的な状態方程式、近似的扱いながらもニュートリノ輸送の効果も取り込んだ、3次元の超新星数値コードの開発を行うことができた。このコードを用いて、3次元の超新星シミュレーションを行なうことで、SASIと呼ばれる流体不安定性がニュートリノ加熱メカニズムと相まって、爆発メカニズムに本質的であることを世界に先駆けて指摘できた。さらに、星の自転のSASIに及ぼす効果を調べた結果、SASIによって非軸対称モードが誘起されることを明らかにした。その上で、この非軸対称モードが原始中性子星にスピンを与えられる可能性を指摘できた。さらに、爆発後生成される原始中性子星の進化の理解に欠かせない、フルに一般相対論な枠組みの数値スキームを開発して、平衡形状について系統的に調べた。 (2) 非球対称超新星におけるニュートリノ放射起源の重力波波形テンプレートの構築 上記の3次元シミュレーションの結果に基づき、超新星から放射される重力波の評価を行った。結果、二次元の場合に比べ、流体の自由度が増えるため、流体運動の非対称度が下がり、非対称なニュートリノ放射を起源とする重力波の振幅が一桁ほど小さくなってしまうことを明らかにした。一方、物質起源の重力波は、現行の重力波干渉計の検出限界内にあり、爆発メカニズムを理解する上で重要なプローブとなることが指摘できた。
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