2009 Fiscal Year Annual Research Report
非対称超新星の爆発機構の解明と重力波、ニュートリノ放射の定量的評価
Project/Area Number |
20740150
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
固武 慶 National Astronomical Observatory of Japan, 理論研究部, 助教 (20435506)
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Keywords | 超新星 / 重力波 / ニュートリノ / 重力波 / マグネター / 中性子星 / QCD相転移 / 強磁場コンパクト天体 |
Research Abstract |
今年度は以下の3つのテーマに関して、当初計画していた以上の成果を得ることができた。 1. 超新星コアとブラックホール降着円盤の流体力学的不安定性 大質量星の重力崩壊にともない普遍的に形成される定常降着衝撃波の3次元非軸対称モードに対する不安定性の数値的解析を行い、3次元的不安定は軸対称2次元的不安定よりも飽和振幅が小さいもののニュートリノ加熱に与える影響は同程度となることが明らかになった。これは、超新星爆発のメカニズムを考えるうえで大変重要な知見である。 2. 超新星コアからの重力波 上記の3次元シミュレーションに基づき、超新星から放射される重力波が時間とともにランダムに変動する特徴を持つことを初めて明らかにした。また、非等方なニュートリノ放射を起源とする重力波の従来の評価方法の問題を指摘し、レイ・トレース法に基づく新たな評価法を提示した。重力波スペクトルには超新星爆発を駆動する流体力学不安定性の時間変動スケールと一致する100ヘルツ付近にピークが現れることを示し、重力波の観測が爆発のメカニズムを解明する上で欠かせないことを明らかにした。重力波天文学が明らかにできる天文現象を具体的に指摘した点に本研究の独創性がある。 3. コラプサーのダイナミクス ガンマ線バーストを駆動するエネルギー供給源としては、降着円盤からのニュートリノ対消滅反応が有力候補とされていたが、過去の研究はそのエネルギー供給率を仮定しているものが殆どであった。上記のレイ・トレース法によってニュートリノ対消の反応率を正確に見積り、超新星爆発において重要と目されるニュートリノ加熱機構がガンマ線バーストエンジンにとっても重要である可能性があることを指摘した。
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Research Products
(16 results)