2010 Fiscal Year Annual Research Report
重力波干渉計ネットワークによる背景重力波観測に対する理論的研究
Project/Area Number |
20740151
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
瀬戸 直樹 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教 (80462191)
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Keywords | 重力波 / 宇宙論 / 天文学 |
Research Abstract |
本年度は1)宇宙論的な連星中性子星の作る前景重力波の除去可能性、2)巨大質量ブラックホール連星を含む3体系の放出する重力波を主に研究してさた。 前者はDECIGO等において、初期宇宙起源の微弱な背景重力波を検出する際に重要となる問題である。具体的には、強い前景重力波を構成している個々の連星中性子星の寄与を一つ一つ特定して、除去する作業が要求される。しかし、干渉計の感度は重力波の入射方向に依存するので、すべての連星中性子星のSN比を検出限界以上にするためには、干渉計ネットワークの配置に関して幾何学的な面からの検討が必要になる。Yagi & Seto(2011)ではこの問題に数値的、解析的両面から取り組んで、3つ、または4つのDECIGO干渉計の最適な軌道配置を明らかにした。この結果、DECIGO干渉計に要求される感度を見積もることもできるようになった。感度の推奨値は従来のデザイン感度と比べて3倍ほどよいものになった。 巨大質量ブラックホールに関しては、ブラックホール連星と小質量のコンパクト星からなる3体系を研究した。今年度は特に、1:1の起動共鳴に注目し、ポストニュートン法を用いて数値的に解析した。連星は重力波を放出して、徐々に起動半径を縮めていく。コンパクトオブジェクトはラグランジェポイント付近を振動しながら、連星の軌道とともに進化する。しかし、ニュートン重力に従うシステムとは対照的に、新たな不安定モードが現れて、コンパクトオブジェクトの軌道が不安定化することがわかった。このモードを詳しく解析した結果、相対論的効果の空間スケール依存性に起因していることを突き止めた。
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Research Products
(3 results)