2008 Fiscal Year Annual Research Report
CMB偏光成分の広帯域測定による原始重力波起源のBモード偏光の探索研究
Project/Area Number |
20740158
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
田島 治 High Energy Accelerator Research Organization, 素粒子原子核研究所, 助教 (80391704)
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Keywords | 宇宙物理 / 素粒子実験 |
Research Abstract |
宇宙インフレーションの決定的証拠となるCMBのBモード偏光を世界最高感度で探索し、世界初検出を目指すことが本研究の目的である。研究初年度である平成20年度QUIET実験のQ-bandレシーバー(測定器)のコミッショニング、較正およびCMBの観測を行った。 QUIET実験はチリのアタカマ高地(海抜5,080m)でその観測を行っている。研究代表者は現地でのQ-bandレシーバーのコミッショニング時に、データを安定かつ継続的に取り続ける為のデータマネージメントシステムの構築とDAQ下流ソフトウェアの改善、および実験サイトに常駐することなくデータのクオィティをリアルタイムでモニターするシステムを構築した。低圧(高度のため)かつ貧弱なネットワークという特殊環境のためこれらのシステムがちゃんとしていないとデータを取り続ける事すらままならない。これらの特殊環境に対応したシステムにより、QUIET実験はデータ輸送時に一切のデータを損失することなく、24時間安定にデータを取り続けている。 また、コラボレーションが迅速に解析を行うための解析インターフェースの構築も行った。これにより、測定器校正等の解析は非常に早く軌道に乗った。QUIETではCMBの偏光強度分布を複数の測定器で測定するので、測定器間での相対的ゲイン(温度に対する出力強度)、ゲインの絶対値、偏光角度の3つが重要な検出器較正項目となる。研究代表者は、大気の輻射の変化を利用した相対的ゲイン較正の解析を観測開始から一ヶ月弱で確立し、今では全ての解析がこの結果をリファレンスポイントとして解析を行っている。また残り2つの較正項目はTauA(牡牛座かに星雲)を使った解析が進行中である。 上記の成果は日本物理学会(2009年3月27日)にて報告を行った。
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