2009 Fiscal Year Annual Research Report
半導体量子ドットにおける多光波混合による位相緩和抑制制御
Project/Area Number |
20740168
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三森 康義 Tohoku University, 電気通信研究所, 助教 (70375153)
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Keywords | 光物性 / 量子ドット / 量子エレクトロニクス / 物性実験 |
Research Abstract |
半導体量子ドット中の励起子の位相緩和抑制制御を多光波混合の手法で実現するためにInAs系量子ドットを用いて、実験的研究を行った。通常の2パルス四光波混合法で測定した量子ドット中の励起子の位相緩和時間は励起強度にほとんど依存性していなかったが、遅延時間をつけた位相緩和抑制制御パルスを第1パルスに同軸に照射すると位相緩和時間に顕著な変化が観測された。特に制御パルスのパルス面積をπ/2からπパルスに設定した場合、位相緩和時間の上限である2T_1(T_1:エネルギー緩和時間)近くまで位相緩和時間が伸長された。一方、π/2パルス以下またはπパルス以上の領域においては位相緩和時間が極端に短くなることが判明した。この位相緩和時間変化の物理機構を明らかにするために、入射パルスの時間幅を変え、ラビ振動の測定を行うことにより、光学応答の変化を調べた。ラビ振動の振動形状は、パルス時間幅に敏感であり、時間幅の長いパルスにより励起を行うと振動構造は通常の2準位系とは異なる構造を示すことが明らかになった。観測したラビ振動をドット内の局所電場効果を考慮し、数値計算により解析を行った結果、観測したラビ振動の形状を再現することを見出した。この局所電場効果は、励起子の遷移エネルギーを励起密度または励起子のポピュレーションにより変調することが理論的に示されており、量子ドットの位相緩和過程はフォノンによる散乱過程だけではなく、ドット内の局所電場効果の関与を強く示唆する知見を得た。これは、多光波混合における制御パルスは、励起密度によって局所電場効果による励起子遷移エネルギーの変調の大きさを変化させ、位相緩和時間の制御を実現していることを示唆するものである。
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Research Products
(8 results)