2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740171
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
左右田 稔 Osaka University, 基礎工学研究科, 特任研究員 (40463905)
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Keywords | 誘電体物性 / マルチフェロイックス |
Research Abstract |
デラフォサイト型結晶構造を持つCuCrO_2は、粉末中性子回折実験より、7_N~24K以下でc軸をスパイラル面に含んだ120度構造をとることが報告されている。この磁気構造では、スピンカレントモデルを適用しても強誘電分極は出現しないが、最近、CuCrO_2の120度反強磁性相における強誘電性が報告された。本研究では、CuCrO_2単結晶に対する偏極中性子回折実験を行い、CuCrO_2の強誘電性の起源を調べた。 偏極中性子回折実験の結果、CuCrO_2は、120度構造ではなくincommensurate proper-screw磁気構造をとることがわかった。この磁気構造をもとに、電場印加によるspin helicityの変化を解析したところ、スピンカレントモデルではなく、低対称性結晶構造におけるd-p混成モデル(有馬モデル)でCuCrO_2の強誘電性が説明可能であることが明らかになった。磁気ドメイン、spin heliclty、酸素配置(結晶構造ドメイン)を全て考えることで実験結果を説明できる。 さらに磁場中偏極中性子回折実験を行い、強誘電分極の磁場変化と磁気構造の関係を詳しく見た。その結果、zero field cooling(ZFC)後、[1-10]方向に磁場を印加することで、H~5.3Tにおいてproper-screwからcycloidal磁気構造に変化するがわかった。また、field cooling(FC)では、ZFCとは異なる磁気秩序状態が実現している。CuCrO_2の螺旋磁気構造が、電場・磁場によって様々な状態をとることがわかり、この系の強誘電性と磁性の関係を明確なものにできた。
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