2009 Fiscal Year Annual Research Report
テラヘルツ分光による半導体共役系ポリマーのキャリアダイナミクスの解明
Project/Area Number |
20740174
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鵜沼 毅也 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 助教 (20456693)
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Keywords | テラヘルツ / 有機半導体 / 共役系高分子 |
Research Abstract |
テラヘルツ領域における半導体共役系ポリマーのキャリアダイナミクスを解明するために,その代表的な存在であるポリチオフェンの薄膜に濃度の異なる系統的な化学ドーピングを施し,時間領域テラヘルツ透過分光を行った。昨年度に課題として残った試料作製方法の改良を行うことにより,10ミクロン以上の厚さをもつポリ(3-ヘキシルチオフェン)及びポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)のドープ薄膜を用意することができるようになった。その結果,十分な量の位相シフトと吸収を示すテラヘルツ透過波形が得られるようになり,複素屈折率(または複素交流伝導度)のスペクトル形状を詳細に議論することが可能となった。 そのスペクトル形状は,典型的な金属を記述するドルーデモデルには従わず,キャリアが局在性をもつことを示唆している。そこで,拡張ドルーデモデルの一つであるドルーデースミスモデルを用いて解析を行ったところ,ドーピング濃度と共にキャリアの局在性が弱くなっているという知見が得られた。一方で,キャリアの散乱時間がドーピング濃度にほとんど依存しないことも分かった。従って,支配的な散乱機構はキャリアーキャリア散乱やイオン化不純物(ドーパント)散乱ではなく,ポリチオフェン鎖構造自体に起因すると考えられる。さらに,異なる試料の間で比較しても散乱時間は立体規則性の有無や側鎖の種類にほとんど依存しないという結果が得られたことから,ポリチオフェンの主鎖におけるフォノンが主な散乱体であると特定された。 包括的な物理的理解を得るために,上記のテラヘルツ領域の結果が中赤外領域の吸収スペクトルや直流の伝導度とどのように対応しているかについても,検討を行っている途中である。
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Research Products
(2 results)