2010 Fiscal Year Annual Research Report
テラヘルツ分光による半導体共役系ポリマーのキャリアダイナミクスの解明
Project/Area Number |
20740174
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鵜沼 毅也 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教 (20456693)
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Keywords | テラヘルツ / 有機半導体 / 共役系高分子 |
Research Abstract |
化学ドープした共役系ポリマー薄膜のテラヘルツ時間領域分光を行い,その結果について以下のような三つの観点から検討を行った。(1)テラヘルツ領域の複素伝導度スペクトルと直流の電気伝導度の間の対応関係を調べた。昨年度までに,得られるスペクトル形状はキャリアの部分局在性を示しており,ドルーデースミスモデルによって再現されることが判明している。異なるポリチオフェン試料について,このモデルからゼロ周波数の外挿伝導度をそれぞれ求めたところ,四探針法で別途測定した直流伝導度とよく一致することが分かった。(2)キャリアの部分局在性の様子をプローブ顕微鏡で直接的に観察した。ポリチオフェンについて,得られた仕事関数マップは数十ナノメートルの面内スケールで値の揺らぎを示しており,ドーピングが空間的に不均一に起こっていることが分かった。(3)ポリチオフェン以外の共役系ポリマーにも見られる普遍的な物理を抽出するために,ポリチオフェンよりも高い導電性をもつポリアニリンについて予備的な実験を行った。テラヘルツ時間領域分光に適したポリアニリン薄膜の作製にはまだ課題が残っているが,基本的には上記(1)と同様の結果が確認された。以上のように,共役系ポリマーにおける直流からテラヘルツ周波数までの(ポーラロンバンド内の)キャリアダイナミクスを一貫して記述できるモデルを特定し,さらに,その起源であるキャリアの部分局在性の空間的スケールを明らかにすることができた。
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Research Products
(3 results)