2008 Fiscal Year Annual Research Report
励起子閉じ込め系量子ドットにおける光シュタルク効果
Project/Area Number |
20740175
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮島 顕祐 Osaka University, 大学院・基礎工学研究科, 助教 (20397764)
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Keywords | 光物性 / 量子ドット / 物性実験 / ナノ材料 / 励起子 |
Research Abstract |
目的 : 半導体中の励起子(電子-正孔対)dressed stateが起こす光シュタルク効果に注目し、さらにその量子ドット中における増強効果や特有のメカニズムを明らかにする。 研究計画と結果 (1) 計画 : CuCl量子ドット及びバルク結晶の試料作製を行う。 横型ブリッジマン法によるCuCl量子ドットの作製には成功しており、今後はアニール温度などによる平均サイズ分布の制御などが課題である。気相成長法によるバルク結晶作製は成功していないが、その原因に元のCuCl粉末材料の純度が悪い可能性がある。そこで、真空蒸留とゾーンメルティング法を行い、粉末の純化を行っている。 (2) 計画 : 紫外励起による中赤外過渡吸収測定にて、CuClバルク結晶及びCuCl量子ドットのリュードベリ状態を明らかにする。 MBE法で作製したCuCl膜にて、励起子と励起子分子の1s-2p準位間の遷移による宮中構造を捉えた。特に、励起子分子のバルク結晶中でのこの吸収構造は初めての観測であり、多励起子系の励起状態の研究に大きな意義も持つと考えている。さらに、量子ドット中では、束縛励起子に起因すると思われる吸収構造を捉えた。現在理論計算によるその吸収構造の確認を検討している。 (3) 計画 : 中赤外照射による紫外域過渡吸収測定の実験系を構築し、CuClバルク結晶での光シュタルク効果を観測する。 現在、この計画まで研究は進んでいない。但し、系の構築に必要なミラーや白色光発生に必要な送液ポンプなどは準備した。今後レーザーシステムを入れ替える予定があり、そこで赤外光強度が2倍以上に強くなる。その後、測定系を構築し研究をさらに進めていく予定である。 (4) その他、CuCl量子ドット中の励起子の磁場下での光学特性の研究を行った。量子ドット中での励起子g因子が増大するという結果を得た。また、励起子一重項と三重項状態の混成効果を調べ、束縛励起子での混成効果が自由励起子の場合と比べ大きい傾向にあることを明らかにした。今後のは、その定量的な議論を進めていく予定である。
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