2010 Fiscal Year Annual Research Report
強誘電ナノ領域の熱伝導と高圧合成によるモルフォトロピック相境界の探索
Project/Area Number |
20740178
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
橘 信 独立行政法人物質・材料研究機構, 超伝導材料センター, 主任研究員 (40442727)
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Keywords | リラクサー強誘電体 / モルフォトロピック相境界 / 単結晶育成 / 熱伝導率 / 比熱 |
Research Abstract |
本研究では、強誘電酸化物における熱伝導率と比熱の精密測定から、ナノスケールの相分離現象と巨大圧電応答特性の関係を明らかにすることを試みる。鉛系リラクサー強誘電体にPbTiO_3をドープすることにより、強誘電領域が成長することが知られているが、このような強誘電領域の発達と巨大圧電特性の関係はあまり理解されていない。これまで、BaTiO_3,PbTiO_3,KNbO_3,KTaO_3,NaNbO_3,Pb(Mg_1/3Nb_2/3)O_3の単結晶の比熱と熱伝導率を調べ、典型的な強誘電体であるPbTiO_3では通常の結晶の熱的な振る舞いを示すのに対して、リラクサーのPb(Mg_1/3Nb_2/3)O_3ではガラスで普遍的に見られる熱物性の挙動を示すことを明らかにした。さらに、(1-x)Pb(Mg_1/3Nb_2/3)O_3-xPbTiO_3の比熱と熱伝導率を系統的に調べ、熱物性はガラス的な振る舞いから通常の結晶の振る舞いへと変化することを明らかにした。また、このような振舞いの普遍性を明らかにするため、(1-x)Pb(Zn_1/3Nb_2/3)O_3^-xPbTiO_3の比熱と熱伝導率を系統的に調べた。その結果、Pb(Zn_1/3Nb_2/3)O_3は少量PbTiO_3をドープしたPb(Mg_1/3Nb_2/3)O_3と同じ振る舞いをし、これはPb(Mg_1/3Nb_2/3)O_3と比べてPb(Zn_1/3Nb_2/3)O_3では強誘電領域が発達していることに対応していることを明らかにした。このような結果から、強誘電領域がナノスケールから巨視的な大きさへと発達する過程について重要な知見を得ることに成功した。また、本年度では特に、パイロクロア型のCd_2Nb_2O_7とCd_2Re_2O_7の構造相転移について、比熱、熱膨張率、熱伝導率を調べ、これらはそれぞれ強誘電体と金属であるが、これらの構造相転移には多くの共通点があることを明らかにした。
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