2008 Fiscal Year Annual Research Report
走査型ノイズセンサの高性能化と半導体中電荷揺らぎの空間分布・周波数分散特性の探求
Project/Area Number |
20740180
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
河野 行雄 The Institute of Physical and Chemical Research, 石橋極微デバイス工学研究室, 研究員 (90334250)
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Keywords | 量子ホール効果 / 電荷揺らぎ / 走査型ノイズセンサ |
Research Abstract |
本研究は、以前にわれわれが開発した量子ホール素子による走査型ノイズセンサの性能を格段に向上させ、この新しい計測技術を半導体量子ホール系における電荷揺らぎの探求に適用することで、実空間・周波数分散の双方における情報を直接的に可視化することを目的とする。物質中の電荷揺らぎは、そこでの重要な物性を決定づける要因となることがしばしばある。例えば、電子の局在-非局在状態間遷移、電荷密度波のスライディング、量子極限まで達した(電子のパウリ排他律に起因する)ショットノイズなどの研究から、電子のダイナミックな性質とそれに関連する物性が明らかにされた例がいくつかある。電荷揺らぎを測定する一般的な手段はノイズ測定であるが、通常の電気伝導度測定では、ノイズは"邪魔者"として捉えられ、測定者の意識は、むしろ「ノイズをいかに減らすか」という方向に向かいがちである。ところが、上記の事情からノイズ測定は強力な手段となることが期待できる。従来は試料全体の平均的なノイズ計測が主であったが、本研究では、ノイズ空間分布の周波数分散特性の観測という独自のアプローチからの研究を行う。 今年度は、センサ性能の向上を目的とした研究を行った。原子間力顕微鏡を導入することで、高分解能化を達成した。また、センサとして(1)電界効果トランジスタ構造の量子ホール素子、(2)単電子トランジスタの2種類を試み、前者は高速検出、後者は高感度検出が可能となった。これらの改善からより詳細な電荷揺らぎの探求が可能になるため、次年度における応用研究に大きく寄与すると期待している。
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Research Products
(2 results)