2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740182
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
家田 淳一 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 任期付研究員 (20463797)
|
Keywords | スピントロニクス / 磁壁 / 角運動量移行 / スピン起電力 / 非一様性 / 形状効果 / マイクロマグネティックス / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
本研究課題は、スピントロニクスの舞台となるサブミクロン領域の強磁性体において、磁壁の電流駆動に関し試料中の様々な乱れに起因する現象を、理論的に解明することを目的としている。 磁壁のもつ磁気エネルギーは磁性細線の断面幅に依存する。そのため、空間的に非一様な細線中では、磁壁はそのエネルギー勾配に応じた圧力の作用を受ける。この効果を位置に依存した有効磁場として取り扱う手法を提案し、これまで集団座標の方法による一次元モデル、及び二次元モデルを開発してきた。 22年度は、これまでに得られたモデル計算の有効性を検証し、磁性細線の形状効果が磁壁の運動に与える影響をより詳細に調べるため、実際の試料形状に即したマイクロマグネティックスによる数値シミュレーションを実施した。また、本数値シミュレーション手法を応用することで、磁性細線中のスピン波励起の解析を行い、スピン波によるスピン流生成とその電気的検出実験の検討を行った。さらに、発展的な課題として、近年スピントロニクス分野において注目を集めている磁壁運動に伴う起電力(スピン起電力)の計算も実施した。特に、これまで十分に検討されていなかった、外的な駆動力を一切用いることなく、磁壁の持つ内部エネルギーのみを用いたスピン起電力の存在を数値計算によってはじめて実証した。非一様磁性細線の形状を様々に変化させることで、スピン起電力を用いた磁気エネルギーから電気エネルギーへの変換効率の試料形状依存性を系統的に調査した。ここで得られた知見は、将来の磁壁移動を用いたスピントロニクス素子の設計指針を与えるものであり、今後実験的な検証が待ち望まれる。
|
Research Products
(7 results)