2008 Fiscal Year Annual Research Report
非接触法によるナノチューブの伝導特性評価と磁場効果
Project/Area Number |
20740183
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大島 勇吾 Tohoku University, 金属材料研究所, 助教 (10375107)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 磁気抵抗 / AB効果 / バリスティック伝導 / 非接触伝導 / 強磁場 |
Research Abstract |
本研究の目的は、マイクロ波を用いた非接触の伝導評価法と強磁場を組み合わせる事により、これまで接触抵抗の問題で明らかでなかった単層カーボンナノチューブ本来の伝導特性とその磁場効果を明らかにすることを目的とする。そこで、本年度はまず、測定誤差の少ないプローブの開発を行った。装置のインピーダンスアンマッチングによる誤差は、設備備品で購入した校正キットにより補正を行った。結果、非常にきれいな共振スペクトルが得られ、プローブの感度が改善した。高配向単層カーボンナノチューブ薄膜を用いて測定を行い、磁場にリニアな正の磁気抵抗が得られた。これは以前の結果とコンシステントである。つぎにチューブの直径依存性を調べたところ、チューブの直径に応じて正の磁気抵抗が増大することがわかった。これは観測された正の磁気抵抗が、アハロノフ-ボーム(AB)効果によるものであることを示唆する。これら測定は半道体ギャップより十分低温で行われており、半導体チューブのキャリア殆ど抑制されていると考える。よって、観測された磁気抵抗は金属チューブのAB効果によるものだと考えられる。これは、金属ナノチューブのAB効果が観測されたはじめての例である。 今回用いた高配向薄膜は金属と半導体チューブが混在している。よって今後の課題として、密度勾配遠心分離法で用いた分離チューブで測定を行う必要がある。
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