2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740184
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
神島 謙二 Saitama University, 理工学研究科, 助教 (20321747)
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Keywords | 強磁場 / 試料作製 |
Research Abstract |
通常、炭素を主成分とした有機物質では結合性軌道に反対向きのスピンを持つ電子が2個入り、磁気モーメントが消失する。したがって、ほとんどの有機物質は磁性を示さない。しかし、近年、室温でも強磁性を示す熱分解有機物について報告され、我々のグループで追試実験を行ったところ、トリエチルアミンを800℃〜1000℃で熱分解する事により微量(-mg)の強磁性炭素質試料が得られることを確認した。その磁化は10^<-1>emu/g程度である。また、この強磁性試料を800Kまで磁化測定を行い、室温に戻したところ、自発磁化が増大していることを見いだした。他の強磁性試料についても、石英管中に真空封入を行い、670K付近で磁場中熱処理を行うことにより、室温での磁化が10%程度上昇することを確認した。このように、熱分解で得られた試料を磁場中熱処理することにより自発磁化が増大することから、最初の熱分解の段階で磁場を印加しておくことにより、強磁性試料の収率および磁化値が向上することが期待される。本研究は、磁場印加熱分解により室温で強磁性を示す炭素質試料を効率よく作製することを目的とする。 まずは、磁場印加の効果を調べるため、磁気回路を熱分解石英管に設置し、トリエチルアミンを原料として熱分解炭素を作製したところ、熱分解生成物の中から強磁性試料が得られた。その際、磁気回路を熱分解石英管に設置した場合の方が強磁性試料の収量が増大した。予想通り、磁場は、トリエチルアミン蒸気に影響を及ぼしているようである。また、物質・材料研究機構強磁場共用ステーションに設置されている大口径超伝導磁石を利用させてもらい、合成系の基本的な部分を構築した上で試験運転を開始した。
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