2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740187
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳瀬 陽一 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (70332575)
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Keywords | 乱れた電子系 / 超伝導絶縁体転移 / FFLO超伝導 |
Research Abstract |
乱れた電子系における局在・磁性・超伝導の協奏は歴史的な研究課題である。しかし、相関のあるランダム系の計算は容易でない。また興味ある現象の多くでは、レプリカ対称性を仮定する摂動計算が破綻する。そこで、ランダムネスを厳密に取り扱い、なおかつ臨界揺らぎを取り入れた計算法を開発した。本年度は特に、乱れた電子系の超伝導に関する研究を行い、以下の2つの研究成果を得た。 1、アンダーソン局在とS波超伝導の競合による超伝導絶縁体転移 超伝導絶縁体転移の新しい典型例としてホウ素ドープダイヤモンドやシリコン等の高濃度半導体における超伝導を考察し、そのグローバルな相図を決定した。特に、超伝導絶縁体転移に関して、超伝導のメゾスコピック揺らぎ・熱揺らぎの影響を調べた。ダイヤモンド、シリコン等の物質の個性を反映した計算を行った。これらの系では、アンダーソン局在に伴うクーパーペアの局在相の存在が超伝導絶縁体転移の起源となりうることを示した。 2、磁場中のランダム系におけるFFLO超伝導・超流動の実空間構造 FFLO超伝導は並進対称性が自発的に破れた新奇な量子凝縮相として、長く注目を集めて来た。60年代の理論的予言以来、長い間実験的探索が続けられて来たが、その実験的証拠が蓄積されてきたのはごく最近のことである。本研究では、FFLO超伝導における乱れの効果を調べた。特に、点状欠陥の存在下において「FFLOグラス相」が実現される可能性を指摘した。これは本研究で初めて示された新奇なグラス相である。
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Research Products
(4 results)