2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740187
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
柳瀬 陽一 Niigata University, 自然科学系, 准教授 (70332575)
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Keywords | FFLO超伝導 / FFLOグラス / 冷却フェルミ原子気体 / 回転対称性の自発的破れ |
Research Abstract |
超伝導の標準理論であるBCS理論では、クーパー対が運動量を持たないことが仮定されている。それに対して、有限の運動量を持つクーパー対の量子凝縮による超伝導相がFFLO超伝導である。今年度はランダムネスや空間的不均一性がある系におけるFFLO超伝導・超流動について研究を行った。 第一に、重い電子系超伝導体CeCoIn5の低温高磁場領域で実現されていると考えられているFFLO超伝導相におけるランダムネスの効果を調べた。ランダムポテンシャルを含む微視的モデルをボゴリウボフ-ド・ジャン方程式に基づいて解析した結果、新しいタイプのグラス相が現れることを見出し、これをFFLOグラス相と名付けた。その相において期待される磁気的性質を調べ、その空間分布と統計性に現れる特徴を見出した。 第2に、インバランスな冷却フェルミ原子気体におけるFFLO超流動相の研究を行った。この系におけるFFLO超流動の可能性が大きな注目を集めているが、現在までに実験的な観測例はない。その理由が、この系に特有のトラップの性質にあることを我々は見出し、FFLO超流動を実現するためには別の種類のトラップを用意すれば良いことを提案した。本研究では、トラップがある系の超流動をボゴリウボフード・ジャン方程式および実空間T行列近似を用いて解析した。その結果から、(1)通常用いられる調和型トラップではFFLO超流動相と相分離状態の区別がつかない、(2)ドーナッツ型トラップを用いれば、回転対称性が破れた超流動相が実現されそれはFFLO超流動であることが実験的に同定可能であること、を示した。ドナッツ型トラップにおける実験はそれほど難しいものではなく、このアイデアに基づいた今後の実験研究により、FFLO超流動の直接的な観測が可能になると期待されている.
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Research Products
(15 results)