2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740188
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡 隆史 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (50421847)
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Keywords | 強相関系 / 非平衡・非線形物理学 |
Research Abstract |
[1] 光誘起ホール効果の発見:我々は円偏光のもとでDirac粒子がホール効果を発現する可能性を世界に先駆け発見した(Phys.Rev.B"Photovoltaic Hall effect in graphene")。この光誘起ホール効果は既存のホール効果とは全く異なり非線形久保公式に基づき予言され、電子の獲得する非断熱ベリー位相(Aharonov-Anandan位相)によって理解できる。さらに、我々は実験によってこの現象を検証する方法についても提案を行った。 [2] 非平衡量子モンテカルロ法の開発:非平衡系において相図を決定する上で重要な役割をすると期待される非平衡動的平均場理論、特にその中核となる不純物モデルに対する量子モンテカルロ法の効率化について研究を行った。P.Werner(ETH), M.Eckstein(ETH), A.Millis(Conlumbia)との共同研究であり、結果はPhys.Rev.B"Diagrammatic Monte Carlo simulation of non-equilibrium systems"にて発表した。 [3] モット絶縁体における絶縁破壊の基礎理論の確立:強相関物質の非線形伝導現象を理解する上で最も重要な問題の一つが強電場中のキャリアの生成メカニズムである。我々は低温での絶縁破壊現象の主要なメカニズムとして多体Schwinger-Landau-Zener機構を提唱し、一元ババードモデルにおいてベーテ仮説法を用いて量子トンネル確率の厳密表式を与えた。これにより、電子相関の強い物質を用いたデバイス設計の基礎理論を確立できたといえる。なお、これはベーテ仮説法の非平衡現象への応用という点でも世界で初めての例である。この成果はPRB("Non-Hermitian generalization of the Bethe-ansatz excited states and dielectric breakdown in the Hubbard model out of equilibrium")にて発表した。
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