2008 Fiscal Year Annual Research Report
ラットリングを示す充填スクッテルダイト化合物の磁性と超伝導
Project/Area Number |
20740192
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柳澤 達也 Hokkaido University, 創成科学共同研究機構, 特任助教 (10456353)
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Keywords | 超伝導 / ラットリング / 超音波 / 充填スクッテルダイト / 電子-格子相互作用 / カゴ状化合物 / 国際情報交換 / アメリカ : ポーランド |
Research Abstract |
重い電子超伝導を示すPrOs_4Sb_<12>と強磁性物質NdOs_4Sb_<12>を母物質とする充填スクッテルダイト化合物Pr_<1-x>Nd_xOs_4Sb_<12>について, 超音波による弾性定数および超音波吸収係数の精密測定を行ったNd濃度xを変えた系統的な実験により、局所電荷ゆらぎと磁気ゆらぎが拮抗した領域の磁性共存超伝導の量子臨界現象と、その発現機構に対する軌道自由度並びにオフセンター自由度(ラットリング・トンネリング)の寄与を電子-フォノン相互作用の観点から研究する。X=0.25の超音波測定は北海道大学で立ち上げた装置を用いて行った。さらに、x=0.45の試料は1K以下の温度領域で磁性と超伝導の競合による興味深い物性を示すため、新潟大学自然科学研究科教授後藤輝孝氏の希釈冷凍機を用いて極低温・強磁場における超音波測定を行った。その結果、ラットリング変数が母物質x=0とx=1の中間値を示すことが明らかとなった。また、極低温T=0.25Kにおいて弾性定数が極小をとり、基底状態の縮退が解けていることを示唆する結果を得た。これらの成果を元に8月にブラジル(ブジオス)で行われた強相関電子系国際会議(SCES 2008)においてポスター発表を行い、2009年にPhysica Bからプロシーディングス論文が発表される。一方、ラットリングを示す可能性のある類似物質を探索するために米国カリフォルニア大サンディエゴ校のProf. M. Brian Maple, Ryan E. Baumbach、ポーランド科学アカデミーのProf. Dr. Zygmunt HenkieとDr. Tomasz Cichorekと口頭および電子メールで連絡調整を行い、砒素系充填スクッテルダイトRRu_4As_<12> (R=La, Ce, Pr) の国際共同研究を開始した。
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Research Products
(6 results)