2009 Fiscal Year Annual Research Report
ラットリングを示す充填スクッテルダイト化合物の磁性と超伝導
Project/Area Number |
20740192
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柳澤 達也 Hokkaido University, 創成研究機構, 特任助教 (10456353)
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Keywords | ラットリング / 超音波 / 充填スクッテルダイト / 電子-格子相互作用 / カゴ状化合物 / アメリカ:ポーランド |
Research Abstract |
充填スクッテルダイト化合物Pr_<1-x>Nd_xOs_4Sb_<12>(x=0.45,0.25,1.0)の純良単結晶を育成し、弾性定数C_11の周波数依存性の精密測定を行った。PrOs_4Sb_<12>(x=0)で観測される単一の超音波分散はNd濃度xの増加に伴い徐々に高温側にシフトする結果が得られた。当初は、中間濃度のラットリング変数は終端物質x=0とx=1の中間値を示すと解釈していたが、新潟大の根本祐一准教授によるPr_<1-x>La_xOs_4Sb_<12>の研究結果と相補的に考察した結果、それぞれの内包希土類イオン同士の相互作用は非常に弱く、内包イオンの質量と伝導電子との混成強度によって決まるラットリング変数でほぼ独立に振動していることを示唆する結果が得られており、それとの類推から本研究結果についてもPrとNdの母物質で得られたラットリング変数で非常に近接した二段の超音波分散を仮定しても中間濃度のブロードな超音波分散が再現できることがわかった。一方、x=0.45の試料では極低温T=0.25Kにおいて弾性定数が極小をとり、基底状態の縮退が解けていることを強く示唆する結果を得た。これらの成果を元にPhysica Bから論文が発表された。さらに、終端物質x=1.0のNdOs_4Sb_<12>についても、強磁相内(2T〓H〓10T,T〓1K)の領域に於いて磁場に鈍感な弾性定数のソフト化が存在することを初めて明らかにした。この結果はLaOs_4Sb_<12>,PrOs_4Sb_<12>と同様に、NdOs_4Sb_<12>に於いても縮退したオフセンター自由度が極低温で存在することを示しており、本系の重い電子状態の発現機構にオフセンタートンネリングが関与していることを強く示唆する。ポーランドとの国際共同研究でLaRu_4As_<12>の超音波測定を行い、ラットリングを検証したが超音波分散は観測されなかった。
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Research Products
(7 results)