2009 Fiscal Year Annual Research Report
10GPa級圧力装置によるプラセオ系銅酸化物超伝導体のホール効果測定
Project/Area Number |
20740193
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
石川 文洋 Niigata University, 自然科学系, 助教 (50377181)
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Keywords | 高温超伝導 / 高圧下の物性 / ホール効果 |
Research Abstract |
本申請課題の目的は、新しい超伝導体であるプラセオ系銅酸化物Pr2Ba4Cu7O15-δ (Pr247)の圧力下でのホール効果測定によりその伝導機構を解明することと、その測定を可能とする10GPa級圧力発生装置を用いたホール効果測定装置の開発である。このような高圧下でのホール効果測定装置は、これまでになく新しい試みである。改良型ブリッジマンアンビル型圧力発生装置の改良により、最大12GPaの発生が可能となった。この装置を用いて、12GPaまでの室温における電気抵抗測定を行った。電気抵抗は11.5GPa付近で最大値を示した。これまでに測定されていた8GPa以下と比べて著しく電気抵抗が上昇した。この12GPaでの電気抵抗の温度依存性は明確に半導体的な振舞を示した。ダイアモンドアンビルセルと放射光を用いたX線構造解析実験から、Pr247が11GPa付近で構造相転移を生じていることが明らかになった。電気抵抗の極大値はこれに対応した変化と考えられる。またPr247と同じくCuO二重鎖を持つYBa2Cu4O8などにおいても、同様に構造相転移を11GPa付近で生じることが明らかとなった。つまりこのような構造相転移は二重鎖構造に由来する物であり、Pr247の圧力下における伝導機構を解明する上で重要な発見となった。圧力装置の小型化を目的として従来型の1/3程度の大きさの圧力セルの設計、作成を行った。この小型圧力セルは、6GPaの圧力発生を見込み、磁気天秤による磁化測定や極低温測定用に用いることができる。
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