2008 Fiscal Year Annual Research Report
非一様ポテンシャル中のフェルミ粒子系における強相関効果
Project/Area Number |
20740194
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古賀 昌久 Kyoto University, 理学研究科, 助教 (90335373)
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Keywords | 原子・分子物理 / 光格子 / 量子閉じ込め / 低温物性 |
Research Abstract |
非一様ポテンシャルを持つ粒子系における強相関効果が、物性物理の分野において注目されている。典型例として、遷移金属酸化物におけるヘテロ接合系や閉じ込めポテンシャル中の光格子系が挙げられる。これらの系においては、金属-モット絶縁体や超伝導-モット絶縁体などの複数の量子相からなる共存相やBCS-BECクロスオーバーなど興味深い現象が観測されており、その低温物性が実験的にも理論的にも精力的に調べられている。しかしながら、有限温度の振る舞いや励起状態、さらにはポテンシャルの変化により共存相がどのように時間発展するのかについては、非一様系における強相関効果の理論的な取り扱いが難しく、これまであまり議論されていない。 本研究では、局所相関効果を正確に取り入れることのできる動的平均場近似を用いて基底状態、有限温度のふるまいについて解析を行った。特に、引力相互作用を持つ光格子フェルミ粒子系に注目し、これまでに議論されていない超固体状態の可能性について調べた。この超固体状態は、よく知られているS波の超流動状態と、粒子密度波状態が共存している状態のことである。この系における基底状態について詳細に調べた結果、引力相互作用がある程度大きい時、この超固体状態が安定化されることを明らかにした。また、温度やシステムサイズ、粒子数を変化させた時、どのように超固体状態が安定化されるのかについても調べ、非一様ポテンシャルの重要性について指摘した。
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