2009 Fiscal Year Annual Research Report
非一様ポテンシャル中のフェルミ粒子系における強相関効果
Project/Area Number |
20740194
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
古賀 昌久 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 准教授 (90335373)
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Keywords | 冷却原子系 / 超流動状態 / 量子モンテカルロ法 |
Research Abstract |
非一様ポテンシャルを持つ相関粒子系として、遷移金属酸化物におけるヘテロ接合系や冷却原子が閉じ込められた光格子系を取り上げた。特に本研究では、以下の具体的なテーマを通して強相関粒子系の低温物性について系統的に議論した。 ◆ 冷却原子光格子系における超流動状態について議論を行った。この系に関しては、すでに先行研究があり基底状態の性質について詳細に調べられている。しかしながら、局所相関効果については、これまで正確に取り扱われておらず、通常の平均場近似を超えた議論が必要となっている。そこで本研究では、局所相関効果を数値的に厳密に扱うことのできる連続時間量子モンテカルロ法を用いて系統的な解析を行った。これまで、この方法の枠組みでは超流動状態を直接取り扱うことができなかったが、今回、南部形式に基づくグリーン関数を利用し、量子モンテカルロ法を改良することにより、直接超流動状態を取り扱うことが可能になった。この方法を用いて計算した結果、光格子系において超流動状態がどのように実現するのか明らかになった。また、粒子数インバランスの効果についても議論し、極低温において、二種類の粒子数の差が、動的な量に大きな影響をあたえることが分かった。 ◆ 遷移金属酸化物において議論されているヘテロ接合について調べた。これまでに、モット絶縁体-バンド絶縁体の間に電子相関効果により繰り込まれた金属相が誘起されることが知られている。しかしながら、現実の物質においては、遷移金属イオンの結晶構造から磁気秩序相との競合が期待される。また、繰り込まれた金属相においては超伝導相が出現する可能性もあり、磁気的相関や超伝導相関について正確に取り扱う必要がある。ここでは、磁気相関や超伝導相関について摂動論や動的平均場近似を用いて正確に取り扱い、この系における繰り込まれた金属状態の安定性について議論した。
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