2008 Fiscal Year Annual Research Report
重い電子系化合物における反強磁性と超伝導の四重臨界点
Project/Area Number |
20740195
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
八島 光晴 Osaka University, 基礎工学研究科, 助教 (10397771)
|
Keywords | 重い電子系 / 超伝導 / 量子臨界点 / 圧力効果 / NMR / NQR / 磁性 |
Research Abstract |
重い電子系化合物では、しばしば反強磁性磁気臨界点近傍で超伝導が観測されており、以前のNQR測定による研究(CeRhIn_5)で反強磁性と超伝導の四重晦界点が存在することが発券された。今年度では、CeRhIn_5において四重臨界点近傍でどのように磁気構造が変化しているかを調べた。ここで注意しておかなければならないことは、超伝導と反強磁性はミクロに共存していることである。常任では、c軸方向にらせん状にスピンが配列した不整合反強磁性が発生していたが、超伝導が現れる圧力(>1.7GPa)では、整合反強磁性に変化することが分かった。また、磁気構造が不整合から整合に変化してから、超伝導ギャップは急激に大きくなり、残留状態密度の方は磁気臨界点に向かって減少していることが分かった。このことから、共存相における超伝導発現には不整合より整合な反強磁性磁気構造が有利であることが分かった。以上の結果は、超伝導メカニズムに対してゆらぎの性質(波数ベクトル)が大きく関与していることを如実に表している重要な結果である。 次に、関連物質のCe_2RhIn_8についてである。Ce_2RhIn_8は、結晶構造的にCeRhIn_5(2次元的)よりCeIn_3(3次元)に近くなっている。そもそもCe_2RhIn_8には、試料作成の困難さから確立した圧力-温度相図が存在していなかった。しかし、我々はNMR/NQR法を用いることで、初めて本質的な圧力-温度相図を確立することができた。またCe115系(T_c>2K)と違い、Ce_2RhIn_8(T_c=0.9K)では3次元的なスピンゆらぎが支配的であることも分かり、高い超伝導転移温度には2次元性が重要であることを示唆する結果も得ることができた。
|
Research Products
(6 results)