2009 Fiscal Year Annual Research Report
重い電子系化合物における反強磁性と超伝導の四重臨界点
Project/Area Number |
20740195
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
八島 光晴 Osaka University, 基礎工学研究科, 助教 (10397771)
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Keywords | 重い電子系 / 超伝導 / 量子臨界点 / 圧力効果 / NMR / NQR / 磁性 |
Research Abstract |
重い電子系化合物CeRhIn_5における圧力下NQR測定から、超伝導転移温度(Tc)と超伝導ギャップが、不整合な反強磁性磁気構造から整合な構造へ変化する圧力域で、急激に増大し始めることを突き止め、整合な反強磁性磁気構造が超伝導発現に有利に働くことを明らかにした。また、超伝導ギャップが増大すると同時に、反強磁性磁気モーメントが減少することも確認し、超伝導と反強磁性のオーダーパラメーターが密接にリンクしていることを示した。この結果は重い電子系における超伝導発現機構の解明に繋がると期待される。さらに、CeRhIn_5(T_<cmax>=2.3K)より結晶構造的に3次元性の強まったCe_2RhIn_8(T_<cmax>=0.9K)では、3次元反強磁性スピンゆらぎを背景に超伝導が発現していることが明らかになり、反強磁性スピンゆらぎの次元性がT_c増大に大きく影響することを示す重要結果が得られた。 鉄系超伝導体Ba_<0.6>K_<0.4>Fe_2AS_2では、超伝導ギャップ構造を明らかにするためにFe-NMR測定を行った。鉄系超伝導体では角度分解光電子分光測定からフルギャップ構造を示唆する結果が得られていたが、NMR測定からは確認できず、混乱していた。そのような中、今回の測定により、NMRで初めてフルギャップ構造を示唆する結果が得られ、鉄系超伝導体のメカニズム解明に大きく寄与しうる重要な結果を得ることができた。この論文(M.Yashima et al., J.Phys. Soc. Jpn. 78,103702(2009).)は、Journal of the Physical Society of Japanの注目論文(Editor's Choice)に選ばれ、その成果が科学新聞(2009年10月23日付け)に掲載された。
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Research Products
(18 results)