2009 Fiscal Year Annual Research Report
高温超伝導体母物質におけるPIN接合の創製とその物理
Project/Area Number |
20740196
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
瀬川 耕司 Osaka University, 産業科学研究所, 准教授 (20371297)
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Keywords | モット絶縁体 / 銅酸化物高温超伝導体 / 高品質単結晶 / 輸送特性 / PIN接合 |
Research Abstract |
(Y, La)(Ba, La)_2Cu_3O_y系(YLBLCO系)は高温超伝導体としてよく知られるYBa_2Cu_3O-y系に不純物置換をした系であり、酸素量を減らすことによって結晶構造を変えずにキャリアをp型からn型に変化させることができる"両極ドープ系"である。本研究では結晶構造を保ったままp型キャリアとn型キャリアが結晶内で共存しうる可能性を活かしてPIN接合を実現し、強相関系ならではの機能発現を目指した。PIN接合作製に使用する大型の純良単結晶を得るためにYサイトが全量Ndで置換されたNd(Ba, Nd)_2Cu_3O-y[NBNCO]単結晶作製を試みたが、フローティングゾーン法により小さい単結晶が得られたものの、単相での成長は困難であり、これまでのところ成功していない。また、YLBLCO系において基礎的な物性を明らかにするため、c軸抵抗率の温度依存性から反強磁性転移温度を求める実験を行っていたが、全く同じ測定試料を使って弾性中性子散乱実験を共同研究により行った。その結果、抵抗率の温度依存性に現れるキンクは反強磁性転移に対応することが確認され、さらにはキャリアの符号が変化すると磁気構造が変わるという非常に興味深い結果を得た。それ以外にも、光電子分光実験によってホールドープ側と電子ドープ側で化学ポテンシャルの飛びを観測するなどの成果も得ている。
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