2008 Fiscal Year Annual Research Report
p電子系超伝導-半導体から超伝導体への統一的理解-
Project/Area Number |
20740202
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
村中 隆弘 Aoyama Gakuin University, 理工学部, 助教 (70398577)
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Keywords | p電子系化合物 / 半導体 / 超伝導 |
Research Abstract |
p電子系超伝導物質として、キャリアがドープされたSiCの超伝導に関して、更なる研究を進め、以下の知見を得た。 (1) SiCにおいて観測される結晶中の積層構造の様式が異なる構造多形(ポリタイプ)に着目し、中でも発生確率が高い3C型(3C-SiC)と6H型(6H-SiC)それぞれに対してB(ホール)ドープを行い、双方が化合物としては極めて稀な第1種超伝導体であることを明らかにした。 (2) B以外の元素によるホールドープとして、Alドープによっても超伝導転移を示すことを発見し、3C-SiCと6H-SiCは、それぞれ第1種、第2種超伝導体であることを明らかにした。 (3) BドープSiC、AlドープSiCの超伝導の発見によって、これまで報告されていたp電子系バンドギャップ半導体に発現する超伝導(Bドープダイヤモンド、BドープSi)の超伝導特性 (第1種超伝導若しくは第2種超伝導)が、ドープされた元素が形成するアクセプター準位の位置によって定性的に理解できることを示した。 (4) 『ホールーエレクトロン』の対称的な研究を進めるため、N(エレクトロン)ドープを試みたところ、超伝導転移には至らなかったが系の著しい金属化を確認した。 また、他のp電子系超伝導物質として、Al-Siによって形成される蜂の巣型格子(MgB_2と同タイプの結晶構造)を有する超伝導体CaAlSi(T_c〜7K)に関して、非弾性X線回折実験によってAlとSiが交互に上下方向に振動する低エネルギーの格子振動が異常な振る舞いを示すことを発見し、超伝導発現に非常に重要な役割を担っていることを明らかにした。
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Research Products
(17 results)