2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740207
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
端 健二郎 National Institute for Materials Science, ナノ計測センター, 主任研究員 (00321795)
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Keywords | 核磁気共鳴 / 強磁場 / 機器開発 |
Research Abstract |
独立行政法人物質・材料研究機構が所有するハイブリッド磁石を用いて25Tを超える定常強磁場での核磁気共鳴(NMR)測定を実現し、磁場誘起相転移や量子臨界現象の観測から触媒やゴムなどの機能性材料の構造解析まで、従来の磁場では解明が困難であった事象について、微視的な観点から新たな情報を提供するための装置開発を行っている。本年度は昨年度に開発を行なった磁場揺らぎ補償機の実証実験を28Tにて行なった。具体的には補償機が標準試料KBrの固体高分解能MAS-NMRスペクトルに与える影響を調べた。予備実験から補正機の性能はフィードバックの時定数に大きく依存することが分かっている。予備実験の測定環境下での最善の時定数はほぼ特定できていたが、実際の測定環境とは最善の時定数に違いがあり、実際の測定環境下での最善の時定数の特定までには至らなかった。しかし、補正機によって以下のようにスペクトルのピーク位置の変動や線幅を半分まで減少させることができた。補正する前の磁場はPeak-to-Peakにおいて約10G程度で揺らいでおり、その揺らぎに伴いNMRスペクトルのピーク位置は2.7ppm_<rms>、の幅で時間変動をしていたが、補正機によって、揺らぎをおよそ半分にすることに成功し、スペクトルのピーク位置の変動を1.2ppm_<rms>まで減少させることができた。また、スペクトルの積算を行なうた場合、補正なしではスペクトルの半値全幅は10ppmであったが、補正を行なうことによって、4.3ppmまでスペクトルを先鋭化することに成功した。
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