2008 Fiscal Year Annual Research Report
アクチナイドカルコゲナイド化合物の磁性と伝導の競合の解明
Project/Area Number |
20740210
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
池田 修悟 University of Hyogo, 大学院・物質理学研究科, 助教 (80414580)
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Keywords | カルコゲナイド元素 / β-US_2 / EuFe_2As_2 |
Research Abstract |
今年度では、ウランカルコゲナイド化合物β-US_2が巨大磁気抵抗及び金属絶縁体転移を示すこと及び、その原因として磁気ポーラロンの形成が考えられることを明らかにし、これらの内容をジャーナルに投稿した。中性子散乱実験や光電子分光を行っている他のグループに試料を提供することで、現在は、より多角的にβ-US_2を研究している。 さらに興味深い物性を示すカルコゲナイド化合物を探索するため、フラックス法で用いる電気炉や原料を自作・購入し、物質開発の環境を整えた。 P, As, Sb, Biは、周期律表でカルコゲナイド元素の左隣りに位置している。そのため今後興味深い物性を示すカルコゲナイド下化合物を発見した場合、電子数による物性の変化を比較する上で重要な元素となる。そこで我々が整えた環境でフラックス法による試料育成が行えるかどうか調べること及びPやAsを含む化合物での育成経験を積む目的で、I4/mmmの正方晶の結晶構造を持つEuFe_2As_2をSnフラックス法により育成を試みた。EuFe_2As_2は、近年発見されたFe系高温超伝導物質と類似の結晶構造を持っており、超伝導とEuの磁性が共存していることで注目されている化合物である。このFe系化合物の超伝導は、FeとAsの混成が重要であることが知られており、現在ではAsだけでなく、PやSeでも結晶育成が試みられている。 育成の結果、過去の報告どおり、大型の単結晶を得ることができた。またメスバウアー効果測定からFeの磁気モーメントは、[001]面内に向いていることを明らかにすることができた。これらの結果は、日本物理学会春季大会で発表を行った。 今後は、まず希土類のカルコゲナイド化合物で興味深い物性を示す化合物の探索を行い、`そのデータをもとにアクチナイドの研究へ移行する予定である。
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