2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740215
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
吉本 芳英 Tottori University, 工学研究科, 准教授 (80332584)
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Keywords | 計算物理 / モデル化 / 物性理論 / 第一原理計算 / マルチカノニカル法 / Cu / Zr / 融解 |
Research Abstract |
主な内容は金属結合系の例としてのCuとZrの融解転移である。CuZrの合金にはバルク金属ガラスができるものがある。バルク金属ガラスは金属系において近年注目を集めている系である。 CuTiZrの三元合金によるバルク金属ガラスの研究において用いられた2体的モデル原子間ポテンシャル(H.Teichler 2007)の関数形を採用して本研究で提案している第一原理からのモデル化を実施したところ、以下のことが分かった。 Cuに対してはこのポテンシャル形は比較的うまく融解転移を第一原理からモデル化できる。すなわち、原子間力の残差は比較的小さく、転移温度は1225K(実験値1357.7K)体積変化率は0.049(実験値0.043)が得られる。潜熱は8.9kJ/mol(実験値13.2633kJ/mol)である。 一方、Zrではモデル化の過程そのものが不安定になる傾向がみられた。このことに関連すると思われるが、原子間力の残差がCuに比べて大きく、またストレスの残差がモデル化の過程で不安定になった。暫定的に得られたデータは、転移温度1995K(実験値2127.85K)、体積変化率0.044(実験値0.011,0.016)潜熱19.0kJ/mol(実験値20.9978kJ/mol)であるが大変不安定で信頼性に欠ける。 この不安定さの原因はポテンシャルの関数形にあるはずであるが、そこでここまでの計算で得られた第一原理計算のデータと3体以上の効果が入るEmbedded Atom Model形のモデル原子間ポテンシャル形の組み合わせの試験を行ったところ、Zrのストレスに対する残差が大幅に改善することが分かり、この方向が期待できることが分かった。 プログラム開発において予定していたせん断歪など非等方的ひずみに対する応答の計算コードの開発は完了し、次年度以降での利用のめどがついた。
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Research Products
(2 results)