2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740215
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
吉本 芳英 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (80332584)
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Keywords | 計算物理 / モデル化 / 融解 / 第一原理計算 / マルチカノニカル法 / Cu / Zr / 水 |
Research Abstract |
提案している手法には非平衡の性質を一定程度保持する可能性がある。これを検証するべく昨年度作成したCuZr系に対する原子間モデルポテンシャルを用いて、この系のアモルファス化のシミュレーションを行った。組成Cu_6Zr_4,CuZr,Cu_<45>Zr_<55>に対して得られたガラス転移温度は、800K程度と実験の650Kから700Kに近い値となった。以前のY.L.Sunらが得たCu_6Zr_4に対して907.2Kにくらべて改善しているが、組成がZrリッチになっていくと転移温度が若干上昇する傾向がでた点は、実験では下降する傾向が逆にでていることと不一致であった。しかしながら、ガラスの密度の組成変化は実験のそれとよく一致しており、やはり一定程度の非平衡の性質がモデルポテンシャルに取り込まれることが分かった。 水分子系については、Kawamuraらによる水系のモデル原子間ポテンシャルの関数形を用いて、氷I_c64分子系の融解の性質をシミュレートした。I_cを対象としたのは立方対称性があるほうがシミュレーションしやすいためである。その結果、融解温度は410K、潜熱は13.9kJ/molとなったが、これらは通常の氷に比べて著しく大きい(273.15K、6.01kJ/mol)。この理由の有力候補は用いた第一原理計算(PBE交換相関汎関数を用いた電子状態計算)の精度である。一方で得られた液体相については、対相関関数g(OO),g(OH),g(HH)がA.K.Soperらの実験結果と良く対応していることから、その原子構造自体はよく再現できたといえる。 水系の結果から高精度な参照計算が必要になったので、周期系に対する対応や計算量を考えてhybrid型交換相関汎関数による第一原理電子状態計算コードを吉本が維持しているプログラムxTAPPに組み込む作業を始めた。xTAPPは吉本の共同研究者らによって活用されている。
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Research Products
(8 results)