2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740216
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内田 和之 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (10393810)
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Keywords | ナノ物質 / ナノデバイス / キャパシタンス / 電子構造計算 / 密度汎関数法 |
Research Abstract |
[本研究課題の目的] : 本研究課題(「ナノ物質の電子構造とキャパシタンス」)の目的は、(1)ナノ・キャパシタの電子構造と特性を第一原理的に計算する計算手法を確立すること、(2)その手法を用いて実際のナノ構造に関する計算を行い、広くナノ・デバイスの設計指針となる普遍的な物理と知見を抽出すること、(3)最終目標としては、意図する特性を備えたキャパシタの理論的設計とシミュレーションによる検証を行うことである。 [平成20年度の研究内容] : 申請した研究実施計画に従い、「ナノ・キャパシタにおける電極間誘電体の電子構造論的研究」を行った。 [具体的内容] : 三重壁のカーボンナノチューブ : (8, 0)@(17, 0)@(26, 0)CNTの、ナノスケール・同軸円筒型キャパシタとしての特性を第一原理計算によって求め、解析を行った。ここで、(8, 0)CNTはキャパシタの内側電極、(26, 0)CNTは外側電極として振る舞い、バンドギャップが相対的に大きい(17, 0)CNTは、両者に挟まれた誘電体として振舞う。 [意義・重要性] : これまでにも電極間に真空層を挟んだナノ・キャパシタの電子構造は詳しく調べられてきたが、誘電体を挟んだキャパシタの電子構造の詳細な解析はほとんど進んでいない。実験的に作成されるキャパシタの多くにおいて、電極間は誘電体で充填されているのであるから、誘電体を挟んだナノ・キャパシタについて調べることは重要な課題である。 [結果] : CNT1層の誘電率は電子状態の閉じ込めを反映して、グラファイト結晶のc軸方向の誘電率よりも小さいことが分かった。又、電極に蓄えられた電荷と誘電体の誘電分極電荷は空間的に重なる為、蓄積電荷の量を空間積分の方法で求めることはできず、各電極のバンド充填数でカウントする必要があることが明らかになった。
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