2008 Fiscal Year Annual Research Report
相互作用を持つ開放量子系の解析と電気伝導理論への応用
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20740217
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
西野 晃徳 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 助教 (00466848)
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| Keywords | メゾスコピック系 / 開放量子系 / 量子ドット / 電子間相互作用 / 散乱状態 / 厳密解 / 多体束縛状態 / 非平衡電流 |
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| Research Abstract |
相互作用共鳴準位模型と呼ばれる開放型量子ドットに対して, 厳密な多電子散乱状態を構成し, これを用いて, 系に有限の電位差を与えたときに流れる電流(非平衡電流)を解析的に計算しました. この模型は近年, 微細加工技術の発達により, 実験的にも大変活発に研究されているメゾスコピック系の一つをモデル化したものです. 本研究ではこの系を開放量子系として扱い, 電子間相互作用が存在する状況での, 多電子散乱状態の厳密解を得ました. この多電子散乱状態の著しい特徴は, 自由電子平面波として入射される状態から, 量子ドットでの散乱により, 多体束縛状態が現れる点です. この多体束縛状態は電子間のクーロン相互作用を考慮することにより, 初めて現れる束縛状態です. 本研究で得た多電子散乱状態の厳密解は, 厳密解の手法としてよく知られるベーテ仮説法では構成できない新しいクラスの解です. また, この多電子散乱状態から, 量子ドットに流れるトンネル電流の量子力学的期待値を得ました. さらに, 左右から入射される電子がフェルミ分布に従うとするランダウアー公式を, 相互作用がある場合に拡張して用いることで, 有限バイアス下における非平衡電流を解析的に計算しました. 電子間相互作用を非摂動的に扱った非平衡電流の計算としては, 相互作用が変換等で消去できる特別な場合を除いて, 本研究が初めての計算例です. 得られた電流電圧特性は, 従来の摂動計算, 数値計算の結果を定性的に再現する信頼度の高い結果でした.
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