2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740220
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
古石 貴裕 University of Fukui, 工学研究科, 准教授 (20373300)
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Keywords | 分子動力学シミュレーション / 水 / 疎水性相互作用 / 固体表面 / 国際情報交換 / アメリカ |
Research Abstract |
ナノスケールの構造を持つ固体表面に水を配置したときの水分子の挙動を分子レベルで調べるために、グラファイトと水の系で分子動力学シミュレーションを行った。使用した系では炭素原子が六角形で連続的に続くシートが層状となっているグラファイトの結晶構造をコンピュータ内に再現し、その上に水滴を配置したシミュレーションを行った。その結果、水滴はグラファイト表面上で半球に近い形状となり、実験結果を再現できることがわかった。次に、グラファイト表面に、同じグラファイト構造を持つ、大きさ1.2nm×1.2nmの柱を1.2nm間隔で連続的に配置した固体表面を作成し、水滴を配置したシミュレーションを行った。水滴を柱の上部に配置した場合、水滴の形状は平らな表面上に配置した場合に比べ、より球に近い形状となり、固体表面の撥水性が強くなったことがわかった。また、柱が1.0nmより長い場合は、水滴の安定位置が柱の上部だけではなく、固体表面の底面にも存在することがわかった。柱の長さが水滴の直径より長い場合は、水滴の初期位置に応じて、水滴が上部もしくは下部の安定位置まで移動することもわかった。この水滴の挙動から、上部と下部の安定位置の間には自由エネルギー障壁が存在することが示唆されたため、長い柱で水滴が上昇または下降するシミュレーションをそれぞれ100回程度行い、水滴が固体表面から受ける力の位置依存を求め、それを積分することで自由エネルギー障壁の大きさを見積もることができた。 また、イオン液体のシミュレーションも行った。イオン液体は水と同じように静電相互作用が支配的に働く系であるが、水よりもイオンの動きが100倍遅いことが知られている。両者の違いを調べるために、イオン液体のシミュレーションも行い、液体の構造や動的性質の比較検討を開始した。
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