2010 Fiscal Year Annual Research Report
量子アニーリングの大規模系に対する基礎付けと量子スピングラスへの応用
Project/Area Number |
20740225
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
鈴木 正 青山学院大学, 理工学部, 助教 (30391999)
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Keywords | 物性理論 / 統計力学 / 計算物理 / 量子計算 |
Research Abstract |
本研究課題では、1.量子アニーリングの有効性と2.量子スピングラスへの応用に関する研究を進めている。 1. 2次元Kitaev模型の量子アニーリング(量子クエンチ)の研究を行った。Kitaev模型は量子スピン系の一つで、量子相転移を起こすことが知られている。代表者らは、模型に含まれるパラメターを量子臨界点を通過するように時間変化させ、それによる励起エネルギーと準粒子励起密度をパラメター変化速度の関数として求めた。一様な系に対してはKitaev模型の結果から、既存の結果を含む一般的な系における法則を導いた。非一様な系については、得られた結果を準粒子の状態密度などから理解することに成功した。本研究は、既存の理論では説明できない現象を見つけ、既存の理論を拡張したことが意義深い。また、乱れがそれほど大きくない系においてアニーリングによって誤差がどのように減少するかという問題に知見を与えており、量子アニーリングの基礎付けにも寄与がある。 2. Sherrington-Kirkpatric模型を研究することを計画していたが、それとは異なる2次元の横磁場Isingスピングラス模型を調べる方がより重要であることに気づき、計画を若干修正して研究を進めた。また、スピングラスとは異なるが、幾何学的フラストレーションの強い系である四角酸の秩序形成の問題に対して、有効模型としてチェッカーボード上の横磁場Ising模型を作り、量子アニーリングを応用した数値計算法を適用した。その結果、実験で得られている相図を定性的に説明することに成功した。本研究では秩序相と無秩序相の間に中間相があることを見いだしたことが重要であり、それは高度な数値計算法を使って初めて可能となったものである。
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