2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740232
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 俊 Osaka University, 基礎工学研究科, 助教 (10403130)
|
Keywords | 量子エレクトロ二クス |
Research Abstract |
本研究では、量子もつれ光子対を利用し、量子情報通信を効率化する新たな手法を確立し、高効率で雑音耐性のある安定な長距離量子情報ネットワーク構造の基礎を築くことを目標とする。これまで単一光子を用いた雑音耐性のある量子情報通信方式の原理検証を行い、量子もつれ通信に対してその有用性を示してきた。しかし、光ファイバー通信での実用性を考えた場合の問題として、2光子到達が必要となることにより、効率が低下することが欠点となっていた。昨年度は雑音耐性をもたせるために単一光子を用いるのではなく、弱いレーザー光を用いて高効率化を行うための理論研究を行い、1光子到達で十分な効率の高い新しい方式を見出すことが出来た。本年度はこの新方式の原理実証に向けた実験研究をスタートさせ、量子もつれ光子対光源の構築、光ファイバー通信路における位相雑音や損失をシミュレートするための光学系の構築、更に通信システムの構築を行った。構築されたシステムの動作確認は既に終え、新方式の動作原理の検証も既に行い、短距離通信に相当する損失のあるチャンネルでは効率化が達成されていることを確認した(国際学会投稿予定)。量子情報通信において雑音耐性は非常に重要であり、その効率化は重要な課題である。本研究でその基本原理を確認することができ、今後の長距離化に向けた基礎を築くことができた。また、本年度はこれらの通信に関する安全性や更なる効率化に向けた理論研究も行った。
|