2010 Fiscal Year Annual Research Report
中性原子気体を舞台とした異方的超流動の定量的研究の展開とマヨラナ粒子の探索
Project/Area Number |
20740233
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
水島 健 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教 (50379707)
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Keywords | 超流動 / ボース凝縮 / 量子エレクトロニクス / 量子渦 / マヨラナ粒子 |
Research Abstract |
前年度から引き続き,カイラルp波超流動体におけるトポロジカル相転移とマヨラナ準粒子励起の存在の関連性について調べた。これまでに,孤立した量子渦中に零エネルギー準粒子励起が存在し,それがマヨラナ型準粒子励起として振る舞うことを明らかにしてきた.本年度の研究成果として,Bogoliubo-de Gemes(BdG)方程式の解析計算と数値解析の両方を用いて量子渦間の準粒子の干渉効果により零エネルギー準粒子励起が不安定化することをを明らかにした。弱結合BCS領域では量子渦に束縛されたマヨラナ型準粒子間にはRKKY的な空間振動する相互作用が働くことが示され,マヨラナ型準粒子の非可換統計性を議論する際にも重要な影響を与えることが予測される。さらに,トポロジカル相転移近傍では準粒子のトンネル確率が弱結合BCS領域でのそれと定性的に異なることを見いだした。以上の成果により,中性原子気体系で実現が期待されるp波超流動状態でのマヨラナ型準粒子励起の性質が詳細に理解された。一連の研究成果はPhysical Review Aにて掲載された。 原子気体系に加えて,超流動ヘリウム3でのマヨラナ型準粒子の存在可能性についても議論した。特に薄膜中のヘリウム3はクーパー対ポテンシャルが異方性を持つABM状態が安定になる。このABM状態でのマヨラナ型準粒子励起の存在を指摘し,その準粒子状態が熱力学等に与える影響についてBdG方程式とさらには準古典Eilenberger理論を援用して明らかにした。この研究成果はJournal of the Physical Society of Japanにて掲載された。
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