2011 Fiscal Year Annual Research Report
中性原子気体を舞台とした異方的超流動の定量的研究の展開とマヨラナ粒子の探索
Project/Area Number |
20740233
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
水島 健 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教 (50379707)
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Keywords | 超流動 / ボース凝縮 / 量子エレクトロニクス / 量子渦 / マヨラナ粒子 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き,異方的超流動体におけるマヨラナフェルミオンの性質の理解を試みた.今年度は,これまでの冷却原子気体を中心とした研究舞台を超流動ヘリウムや超伝導体へと拡張した.冷却原子気体ではスピン自由度が消失し,スピン偏極なカイラルp波超流動相への相転移が期待される.昨年度までの研究成果として,この系にはスピン偏極したマヨラナフェルミオンが量子渦やエッジに局在しており,非可換エニオンとして振る舞うことが分かった.しかしながら,超流動ヘリウムや超伝導体では本質的にスピン自由度が存在し,その結果として量子渦状態は自明ではなくなる.そこで,具体的な問題として,制限空間中の超流動3He-A相における量子渦基底状態の理解とそれに付随したマヨラナフェルミオンの統計性について議論した.制限空間ではクーパー対の軌道自由度が消失する結果として,スピン流と質量を伴う半整数量子渦と質量流のみの整数量子渦とがエネルギー的に競合する.前者は非可換エニオンとしてのマヨラナフェルミオンを伴うことは知られていたが,後者のマヨラナフェルミオンの統計性については明らかにされていなかった.そこで,本年度では(i)半整数量子渦と整数量子渦の熱力学的な安定性を議論し,スピン揺らぎフィードバック効果に起因した強結合効果とフェルミ液体補正効果との競合の結果として整数量子渦がより安定化しやすいことを明らかにした.加えて,(ii)整数量子渦に付随したスピン自由度を持つマヨラナフェルミオンの統計性を議論した.マクロな理論であるGinzburg-Landau理論とミクロなBogoliubov-de Gennes理論を併用することで,様々な回転角の磁場のもとでのマヨラナフェルミオンの統計性を議論した.
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